妊活中。でもお酒が飲みたい!
「妊娠が判明したらお酒を飲まないほうがいい、とはわかっているけれど、妊活中はどうなのだろう?」
と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
妊活がどれくらいの期間になるかは誰にもわからないですし、お酒が好きな方にとって、妊娠が分かる前でも飲んではいけない、というのはツラいですよね。
でも、
「妊活中にお酒を飲むことで、何か影響があったらどうしよう?」
というのが心配なところだと思います。
そこで、
- お酒を飲むと、妊娠しづらくなるの?
- 妊娠が分かる前までの飲酒でも、赤ちゃんに影響するの?
- 妊活中に飲むとしたら、どんなお酒がいい?
というのを、食育栄養コンサルタントが詳しく解説していきます。
妊活中のお酒 〜ママの体への影響
妊娠しにくくなるの?
妊活中にお酒を頻繁に飲んでいても、妊娠できる人はいます。
逆に、妊活中にお酒を飲まないように気をつけていても、なかなか妊娠できない人もいます。
ならば、「無理にお酒を我慢する必要はないのは?」と思ってしまいますよね。
実は、妊娠前のお酒が、その後の妊娠にどのような影響を与えるかは、医学的にもまだはっきりとは立証されていないのです。
しかし、立証されていないだけで、
『妊活中にお酒を飲むと、妊娠率が下がる』
という臨床データは確かにあるようです。
妊娠するには、
- 質の良い卵子が育つこと
- 充分なホルモン分泌があること
この2つがカギになります。
簡単に言うと、健康で質の良い卵子が、卵胞ホルモンなどによって大きく育って正常に排卵され、黄体ホルモンなどによってフカフカになった子宮に着床し、無事に妊娠する、ということです。
お酒により、その『質の良い卵子の育成』と『充分なホルモン分泌』が妨げられることがあり、その結果、妊娠率が下がるのではないかと考えられています。
それでは、妊娠前のお酒が、どのようにして『卵子の質』と『ホルモン分泌』に影響を及ぼすのか、順にみていきましょう。
お酒をたくさん飲むと、活性酸素が『卵子の質』を悪くする
お酒を飲むと、その中のアルコール成分はそのままでは消化されず、胃や小腸の壁から血液中に入り、肝臓へと運ばれます。
肝臓で、アルコールは分解しなくてはならない『異物』と判断されて、酵素による解毒が始まります。
その解毒の過程で、『活性酸素』が発生します。
活性酸素は、ある程度の量は体に必要なものなのですが、大量に発生するととても厄介です。
体中のあらゆる正常な細胞を傷つけ、死滅させ、臓器をも痛めて老化させていってしまうのです。
生活習慣病の実に90%が、活性酸素が原因ともいわれているんですよ。
活性酸素が攻撃するのは、卵子や卵巣も例外ではなく、正常で健康な卵子を傷つけて老化させ、卵巣の機能も低下させていきます。
しかし、体のほうも活性酸素の攻撃にやられっ放しなわけではありません。
『抗酸化酵素』という活性酸素を抑える物質が、主に肝臓内にあって、活性酸素が細胞を攻撃するのを防いでくれます。
ただ、適度な量の活性酸素なら対応できるのですが、お酒をたくさん飲むなどして、大量の活性酸素が発生すると、抗酸化酵素も細胞への攻撃を止め切れなくなってしまいます。
しかも残念なことに、この活性酸素と戦ってくれる抗酸化酵素は、年齢とともに量が減っていくことがわかっています。
ですので、特に高齢出産と言われる35歳以上の方が妊活をする場合には、お酒の量に十分注意する必要があります。
ただでさえ卵子の老化の心配があり、卵巣の機能も徐々に低下していく中で、さらにアルコールで卵子や卵巣を傷つけてしまわないように気をつけたいですね。
たくさんのお酒で肝機能が低下すると、女性ホルモンの分泌が減る
また、過度の飲酒は、女性ホルモンの分泌も減らしてしまうことがわかっています。
妊娠するためには、新鮮な女性ホルモンが常にたっぷりと分泌され続けることが理想ですよね。
古くなった女性ホルモンは、肝臓で分解処理され、そうすると脳がまた新しい女性ホルモンを分泌するよう指令を出します。
しかし、お酒をたくさん飲むと、肝臓はフル稼働でアルコールの解毒・分解に専念しなければなりません。
そのため、古い女性ホルモンの処理にまで手が回らなくなります。
さらに、普段から老廃物の処理や添加物などの解毒などでフル稼働している肝臓は、頻繁にアルコール処理の仕事が入ると、徐々に『過労』の状態になっていきます。
そして、慢性的に肝機能が低下していきます。
肝機能が低下し、処理されない古い女性ホルモンが溜まると、脳は「女性ホルモンの量がまだ充分にある」と判断し、新しい女性ホルモンを分泌させる指令を出しません。
お酒によって、新鮮な女性ホルモンの分泌がストップしてしまうと、卵子が充分に育たず、子宮もフカフカにはならず、妊娠しにくくなってしまうのです。
まとめ ~お酒が妊娠のしやすさに影響がないとは言えない
これらのことから、お酒は少なからず妊娠のしやすさに影響を与える、ということが言えるでしょう。
活性酸素の攻撃を抑える『抗酸化酵素の量』や『肝機能のレベル』には個人差がありますので、一概に飲んではいけないということではありません。
でも、妊活中は飲む量を抑えるように心がけたほうがよさそうです。
妊活中のお酒 〜妊娠前でも赤ちゃんに影響するの?
では次に、妊活中のお酒の、将来の赤ちゃんへの影響についてみていきましょう。
- 妊娠『前』(0週未満)
- 妊娠『超初期』(0~3週)
- 妊娠『初期』(4週~)
に分けて解説していきます。
妊娠前(0週未満)
妊娠直前の生理が始まった日を『妊娠0日』と数えますので、『妊娠前』とは、妊娠する直前の生理開始まで、ということになります。
この時期の飲酒は、赤ちゃんへの影響はまずないと思って大丈夫でしょう。
しかし卵子は、生理からの2週間だけではなく、排卵される3か月くらい前から少しずつ準備されています。
ですので、妊娠前でもお酒による卵子の細胞への影響という面では、まったくないとは言い切れません。
上でも述べたように、アルコールによって発生する活性酸素により、卵子の細胞が傷つけられる可能性があるからです。
しかし、生まれてくる赤ちゃんの健康に直接影響がある可能性は、ほぼないと考えられる時期なので、そこまで神経質になる必要はないですよ。
妊娠超初期(0~3週)
『妊娠超初期』とは、妊娠の直前の生理の初日(妊娠0週)から、次の生理予定日の前日まで(妊娠3週)の約4週間を指します。
妊活中でお酒が好きな方の中には、この時期にお酒を飲んだ経験がある方も多いのではないでしょうか?
特に0週目は、がんばってきた不妊治療が生理でリセットされ、
「いまだけはお酒を飲んでいいことにしよう!」
と好きなお酒を飲んで、気持ちをスッキリさせることもありますよね。
では、妊娠超初期をさらに前半と後半に分けて、みていきましょう。
妊娠超初期の前半(0〜1週)
妊娠超初期の中でも、最初の2週間、つまり排卵・受精までは、妊娠前と同様に、お酒が赤ちゃんに直接悪い影響を及ぼす可能性はほぼないと考えてよいでしょう。
しかし、活性酸素による卵子の質の劣化の心配はありますので、注意が必要ですよ。
体外受精の採卵周期は、たとえ少量の飲酒でも卵子の質に影響が出やすく、卵の成績が落ちるということがわかっています。
ということは、やはり本当はお酒を飲まないのが理想だといえますよね。
でも、赤ちゃんへの影響がない、という意味では、飲むとしたらこのタイミングしかありませんので、飲みすぎない程度に、うまくストレスを解消していきましょう。
比較的影響の少ないお酒の種類、飲み方などを、後ほどご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
妊娠超初期の後半(2〜3週)
妊娠超初期の後半、つまり排卵して受精すると、7~11日後に着床して妊娠が成立し、次の生理予定日ごろには検査薬などで妊娠が判明します。
原則的には、生理予定日(妊娠判定日)まではアルコールの赤ちゃんへの影響はないと言われています。
しかし厳密には、排卵・受精した直後から、赤ちゃんの細胞分裂は始まっています。
その時期に、アルコール依存症のように頻繁に大量のお酒を飲んでしまうと、たとえ妊娠3週でも赤ちゃんに影響が及ぶというデータもありますので、もしお酒をたくさん飲む習慣がある方は注意が必要です。
それほどでなければ、生理予定日、つまり妊娠が分かるまでは、もし気づかずに飲酒してしまっても、赤ちゃんへの影響をそんなに気にする必要はありません。
気にするストレスのほうが、ママにも赤ちゃんにもよくありませんので、あまり心配しすぎないようにしましょうね。
妊娠初期(4週~)
『妊娠初期』とは、生理予定日を迎え、妊娠検査薬で反応が出始める妊娠4週以降のことを指します。
月数でいうと、『妊娠2か月』にあたります。
実はこの時期が一番お酒に注意しなければならない時期なのです。
なぜかというと、妊活を意識していない方の場合、少しくらい生理が遅れても、妊娠しているとは思わずお酒を飲んでしまうかもしれない時期だからです。
そしてさらに、この妊娠4~8週(妊娠2か月)というのは、赤ちゃんの細胞分裂がものすごいスピードで進み、脳や脊椎の神経細胞の実に8割ができあがる時期だからです。
この時期にお酒を飲むと、赤ちゃんの脳・中枢神経・各器官形成に、影響を及ぼす可能性があります。
それを『胎児性アルコール症候群』といい、次のような症状があります。
胎児性アルコール症候群の症状
- 発達不全(低体重・小頭症)
- 顔面の形成不全
- 知的障害・学習障害
- 過活動
- 対人障害
日本での発生率は約1万人に1人と言われますが、それは全出生児に対する割合であって、妊娠初期にお酒を飲んだ場合の発生率はわかっていません。
アルコール依存症の女性の赤ちゃんにおいては、3人に1人が発症することがわかっています。
ですので、それほど発生率が低いものではないと言えますよね。
しかし、いくらアルコール依存症でも、妊娠中にさえお酒を飲まなければ、赤ちゃんが胎児性アルコール症候群にかかることは 100%ありません。
ということは、普段どれくらいお酒を飲んでいるかに関係なく、
「『妊娠初期』にお酒を飲まない」
ことが大切なのです。
この時期のお酒に「これくらいの量なら大丈夫」という安全基準はありません。
たくさん飲んでも発症しないこともあるし、ほんの少量飲んだだけでも影響することがあります。
双子を妊娠中に飲酒して、片方の赤ちゃんにだけ発症した例もあるそうです。
「上の子の時に飲んでも大丈夫だったから、2人目の妊娠の時もきっと大丈夫。」
「私は妊娠に気づかずに飲んでたけど健康な赤ちゃんが生まれたから、あなたもちょっとくらい飲んでも大丈夫よ。」
ということは絶対にないのです。
ですので、妊活をしている方もしていない方も、万が一にでも妊娠の可能性があり、生理予定日に生理がこなかったら、絶対にお酒を飲まないようにしましょう。
もしお酒を飲んでしまった場合は、後悔してもしようがないので、もうそれ以降は絶対に飲まないようにして、気持ちを切り替えていきましょうね。
海外では妊娠中も飲酒OK!?
ちなみに、海外では妊娠中のお酒についてそれほど強く禁止されないイメージがありませんか?
海外で妊娠・出産した方から、そのような話を聞く機会があるかもしれませんね。
でも、アメリカの『胎児性アルコール症候群』の発症率は、日本の 10~20倍にものぼるのです。
最近では、産婦人科などでも妊娠中は飲酒しないように指導されるようですが、それでももともとアルコール依存症の女性が多いこともあり、完全にストップさせるのは難しいという事情もあるようです。
欧米の方は、日本人に比べてアルコールを分解する酵素が30%多く、お酒に強い傾向があります。
しかしそれでも飲酒による赤ちゃんへの影響はとめられないのです。
「海外では皆飲んでいるから大丈夫だよ。」
と聞いても、決して鵜呑みにすることのないようにしましょう。
お酒の影響のまとめ
妊活へのお酒の影響
- お酒による『活性酸素の発生』と『女性ホルモンの分泌量の減少』で、妊娠しにくくなる可能性がある。
赤ちゃんへのお酒の影響
- 妊娠0週未満(妊娠直前の生理前)
赤ちゃんへのお酒の影響はほぼない。
(飲み過ぎによって卵子の細胞を傷つける可能性はある。) - 妊娠0~3週(次の生理予定日前)
赤ちゃんへのお酒の影響はほぼない。
ただし排卵・受精を終えると赤ちゃんの細胞分裂が始まり、多量・または頻繁な飲酒は影響が出ることがあるので注意。 - 妊娠4週~(生理予定日以降)
胎児性アルコール症候群が発症する可能性があるので、絶対に飲酒しないようにしよう。
妊活中にお酒を飲みたいときは、こうしよう!
妊娠中はもちろんですが、妊活中もできればお酒を飲まないほうがいいということはわかりました。
それでも飲みたいときはありますよね!
忘年会シーズンや友人の結婚式など、最初の1杯だけでも飲みたい。
大好きなお酒をやめて妊活をしてきたのに、なかなかうまくいかなくて飲みたくなってしまった。
そんな時はどうすればよいのでしょうか?
お酒を我慢しすぎるストレスもよくない
実は、お酒によって起こる『活性酸素の発生』や『女性ホルモンの分泌量の減少』は、ストレスによっても同じように起こります。
お酒を飲むのが楽しい方にとっては、妊活中にお酒を無理に我慢し続けることが強いストレスになります。
強いストレスを感じると、活性酸素が発生し、体中の正常な細胞を攻撃します。
また、ストレスによって脳に負担がかかると、ホルモン分泌の指令がうまくいかなくなり、女性ホルモンの分泌量が減少します。
さらに、ストレスは血行も悪くし、体を妊娠しやすい状態から遠ざけてしまいます。
では妊活中はどうすればよいのかというと、
『比較的安全な時期』に『妊活に適したお酒』を『適量』だけ飲めばいいのです。
順にみていきましょう。
妊活中にお酒を飲むのに比較的安全な時期は?
生理中のお酒は比較的安心
お酒を飲みたいとき、ママにも赤ちゃんにも一番安全な時期は、妊娠0週、つまり生理中の1週間です。
妊活をしていて生理がくると落ち込むこともありますよね。
そんなときは、
「いまだけは気晴らしに飲んで、また次がんばろう!」
と思うのも悪くありません。
妊活がうまくいかないというストレスが、お酒によって助けられることもあると思います。
生理中の1週間は、まだ受精している可能性はありませんので、赤ちゃんに悪影響があることはほぼありません。
ただし、上でも述べたように、過度の飲酒で活性酸素で卵子が傷つけられたり、女性ホルモンの分泌が減ってしまう可能性はありますので、注意が必要です。
また、生理中はホルモンバランスの関係や血流量の減少で、お酒に酔いやすい時期です。
お酒で体が冷えると、生理痛が重くなったりもします。
後ほどお伝えしますが、飲むお酒の種類と量には気をつけましょう。
そして、排卵・受精の時期に入ったら、なるべくお酒は控えるようにしましょう。
ただし着床出血の可能性に注意
『着床出血』とは、受精卵が無事に着床し、子宮に根を張る際に少量の出血があることです。
排卵から 7~11日後に着床し、下腹部痛が伴うこともあるため、生理と間違えることがあります。
着床出血には個人差があり、まったくない場合もあれば、1日~数日間続く場合もあります。
万が一生理と間違えて、大切な妊娠初期にお酒を飲んでしまうと大変なので、基礎体温や妊娠検査薬などで確認することを習慣付けましょう。
妊活中にお酒を飲むならこれ!
妊活中は『陽性』のお酒を飲もう
お酒は、基本的に体を冷やすものです。
アルコール分を分解するときに、必ず体の熱を奪うからです。
飲んだ直後には体がポカポカと温まっても、夜中や次の日の朝に体が芯から冷え切っていたという経験があるのではないでしょうか?
ただし、お酒の中でも『陽性』のお酒と『陰性』のお酒があり、陽性のお酒のほうがアルコールの陰の性質をやわらげてくれます。
妊活中には体を冷やさないことが大原則となりますので、飲むときには『陽性』のお酒を選ぶようにしましょう。
- 陽性のお酒
…日本酒・赤ワイン・ブランデー・芋焼酎・米焼酎・梅酒・杏酒・紹興酒
※ できるだけ年数の経った古いお酒の方が、アルコールの陰の性質が抜けていてよい。
※ 熱かんやお湯割りにするとベスト。
※ 焼酎は、梅(極めて陽性)を入れるとなおよい。
※ 梅酒・杏酒・紹興酒は陽性だが、白砂糖(陰性)が多く入っている場合があるので飲み過ぎに注意。黒糖のほうが陰性度が少ない。
- 陰性のお酒
…ビール・白ワイン・ウィスキー・ハイボール・麦焼酎
※ なかでも新酒はより陰性度が強い傾向があるので注意しよう。
妊活中は特に赤ワインがおすすめ
妊活中に飲むなら、陽性のお酒の中でも特におすすめなのが、『赤ワイン』です。
赤ワインには抗酸化作用があり、適量ならば活性酸素を撃退してくれます。
また、大量のポリフェノールが含まれていて、女性ホルモンと似た働きをしてくれることがわかっています。
さらにホットワインにすると、体を温めて血行促進効果もあるので、おススメですよ。
ちなみに『白ワイン』には抗酸化作用もポリフェノールも少ないので、効果は期待できません。
おすすめホットワインの作り方
- 赤ワインに、ハチミツ・ショウガ・シナモン・クローブなどをお好みで入れる。
オレンジやリンゴの果汁もしくは100%ジュースなどを入れてもよい。 - 小鍋に入れ、沸騰させないように温めるか、電子レンジでチンする。
- レモンがあれば添えて完成♪
妊活中、ビールには注意!
妊活中に注意が必要なのが、『ビール』です。
ビールは陰性で体を冷やす上、つい量を飲みすぎてしまう傾向があります。
ビールに含まれるホップは、たしかに体に良い面もあり、フィストロゲンという物質が女性ホルモンにした働きをします。
しかし、それらの効果を得るには、大量のビールを飲まなくてはならず、体を冷やしたり肝臓を酷使したりするマイナスの作用のほうが大きくなってしまいます。
ですので、妊活中どうしてもビールが飲みたくなったら、小さなグラス1杯ほどに留めておき、赤ワインや梅酒などに切り替えるようにしましょう。
安いお酒は、添加物が多いので避けよう
『安いお酒』とは、一般的に早く出来あがるお酒です。
同じ種類のお酒でも、醸造アルコール・アミノ酸・その他添加物が多く含まれている可能性があり、妊活中にはできるだけ避けたいところです。
『高いお酒』とは、一般的に時間をかけてゆっくり熟成させて出来あがるお酒です。
添加物が少なく、アルコールの陰の性質が抜けていて、体に良いものが多いです。
妊活中には、陽の性質を持ち、普段は飲まないようなちょっと贅沢なイイお酒を少しづつ嗜む、というのも、楽しみが増えていいかもしれませんね。
一緒に食べるおつまみは何がいい?
妊活中にお酒を飲むときには、
『タンパク質・ビタミンC・ビタミンE・βカロテン』
を含むおつまみを一緒に食べることをおすすめします。
『タンパク質』は、肝臓の働きを助け、お酒により女性ホルモンの分泌が減るのを防いでくれます。
『ビタミンC・ビタミンE・βカロテン』は、抗酸化作用があり、お酒の活性酸素による攻撃から卵子などの細胞膜を守ってくれます。
また、アルコールの陰性度を緩和させるためには、なるべく『陽性』の食べ物を選ぶようにしましょう。
1つ注意が必要なのは、同じタンパク質でも、動物性タンパク質は『陽性』ですが、大豆製品などの植物性タンパク質は『陰性』で体を冷やすということです。
妊活によく、かつ陽性のおつまみ
- チーズ(タンパク質)
- 明太子(ビタミンC・E)
- いかの塩辛(タンパク質・ビタミンE)
- カブの浅漬け(ビタミンC・βカロテン)
- 唐辛子(ビタミンE・βカロテン)
- アーモンド(ビタミンE)
- にんじん(βカロテン)
- シソ(βカロテン)
- 鶏肉(タンパク質)
- 『塩』は強力な『陽性』を持つので、塩漬けにされているおつまみはおススメ。
- お肉は動物性タンパク質を豊富に含み、かつ陽性なので良い。ただし、牛肉や豚肉の脂身・馬肉は体を冷やすので注意。
体を冷やす陰性のおつまみ
- 枝豆
- お豆腐(揚げだし豆腐にすると、陰性がやわらぐ)
- ゴボウ(根菜は体を温めるイメージがあるが、ゴボウは体を冷やす)
- きゅうり・トマト・ナス
妊活中に飲んでいい量は?
では、量はどれくらいが適量なのでしょうか?
アルコールの代謝能力には個人差があるため、一概には言えませんが、一般的には厚生労働省が公表している『飲酒のガイドライン』を参考にするとよいでしょう。
ガイドラインのお酒の量は、一般的に健康に影響のない量、ということですので、妊活中は、これよりやや少なめを目安にした方がいいかもしれませんね。
中年の男性の節度ある適度な飲酒量は、「1日平均純アルコールで約 20g程度」と定められています。
女性は、男性がビール 500mlのところを 350mlにするように書かれていますので、男性の『7割』が適切な量ということです。
つまり、女性は「1日平均純アルコールで約 14g程度」が目安となります。
では、純アルコール 14gというのは、どれくらいなのでしょうか?
各アルコール飲料に換算すると、次のようになります。
女性の1日の適切な飲酒量
- ビールまたは発泡酒:350ml
- 日本酒 :112ml(1合の7割)
- 焼酎(35度) :70ml
- 酎ハイ(7%) :252ml(350ml缶の7割程度)
- ウイスキーやブランデー(40%):42ml(シングル1杯半弱)
- ワイン(12%):140ml(ワイングラス1杯強)
思ったよりも少ない、と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
お酒が好きな人にはツライ量かもしれませんね。
しかも、厚生労働省のガイドラインには、さらに『顔が赤くなりやすい人は、この目安より少量にすること』と但し書きがされています。
しかし妊活中は、お酒を飲むことによって、活性酸素が卵子の細胞を傷つけたり、女性ホルモンの分泌が減ってしまうのを、極力避けなければなりません。
無事妊娠・出産し、授乳を終えれば、また好きな量を飲めるようになりますので、
「一生我慢するわけではない、今だけがんばろう!」
と割り切って、少量にとどめておくようにしましょうね。
また、同じ量を飲むにしても、空腹時に飲むよりも食事と一緒に飲んだほうが、アルコールの影響は少なくなることがわかっています。
さらに、肝臓がアルコールを処理するスピードを超えないよう、1杯のお酒をゆっくり時間をかけて飲むことで、血中アルコール濃度の上昇を防ぐことができます。
妊活中は、
『食事と一緒に、1杯をゆっくりと飲む』
ということを心がけましょう。
女性はたとえお酒が強くても、男性と同じペースでは飲まないで!
1つ覚えておきたいのは、一般的に男性よりも女性のほうが、アルコールに弱い傾向がある、ということです。
体が小さいということは、もちろん肝臓も小さいので、アルコールを処理するスピードも遅く、許容量も少なくなります。
また、全身の血液量も少ないため、同じ量のお酒を飲んでも、女性の方が血中アルコール濃度は高くなります。
たとえ体重が同じ男女でも、女性のほうが脂肪の割合が多く血液量が少ないため、アルコールの害を受けやすくなります。
肝がんにつながる『肝硬変』に女性の方がなりやすいのは、このためだと言われています。
「自分はお酒に強い」と思っていても、男性と同じペースでは飲まないように気をつけましょうね。
妊活中にお酒を飲みたいときのまとめ
- 生理中の1週間は、お酒を飲んでも比較的安心。ただし、着床出血との間違いに注意。
- 陽性のお酒を飲もう。特に赤ワイン・ホットワインがおすすめ。
- ビールは体を冷やすので、妊活中にはできるだけ控えよう。
- 肝臓の働きを助け活性酸素を減らす、チーズやアーモンドなどと一緒に飲もう。
- 量は、ビールなら350mlを1缶まで、ワインならグラス1杯強くらいまでにしよう。
- 食事と一緒に、1杯をゆっくり時間をかけて飲もう。
- いくらお酒に強くても、男性と同じペースでは飲まないようにしよう。
妊活中のお酒のまとめ
以上、妊活中のお酒についてみてきました。
妊活中は、卵子やホルモンへの影響を考えると、もし飲まないでいられるなら、それに越したことはありませんよね。
それでももし飲みたくなったら、飲む時期・種類・量に気をつけて飲むようにしましょう。
でも、毎日飲酒していても自然妊娠する方もいれば、禁酒して不妊治療をしてもなかなか授からない方もいます。
中には、妊娠したあとにも気づかずに飲酒や喫煙を続けても、健康な赤ちゃんを産む方もいますし、逆に、禁酒禁煙はもちろんのこと、食べ物やサプリにも充分に気をつけていても、先天性異常や疾患のある赤ちゃんを出産する場合もあります。
なんだか不公平に感じてしまいますよね。
でもこればかりは、体質・運などの個人差があり、どうすることもできません。
だからといって、
「私は飲んでいても無事に妊娠したから大丈夫だよ。」
「何も気をつけなかったけど、健康な赤ちゃんが生まれたから、神経質になることはないよ。」
という周りの言葉を鵜呑みにするのは、リスクが高すぎます。
もちろん神経質になりすぎることはありませんが、お酒をやめたり飲み方に気を付けることで、無事に妊娠して健康な赤ちゃんを産める『確率』が上がることは確かなのです。
確率を上げるための方法と割り切って、妊活中はできるだけお酒を控えたり、量を減らすようにしましょう。
- パートナーの男性にも一緒に節酒・禁酒をしてもらう。
- お酒が飲みたくなるような食事のメニューや外食は控える。
- ノンアルコール飲料で美味しいものを探してみる。
- 早寝早起きをして夜お酒を飲む時間を作らない。
などなど、できるだけ楽しく妊活・妊娠期を乗り切れるように、日々の生活を工夫してみましょうね!