出生前診断

新型出生前診断 NIPTのすべて[2021年]

新型出生前診断NIPT

新型出生前診断(NIPT ニプト)』が気になっている妊活中の方や妊娠中のママさん、きっと多いですよね。

リスクがなく精度が高い『新型出生前診断(NIPT)』は、費用の高さにも関わらず、検査を受ける方が年々増え続けています。

最近は、インターネットで『NIPT』と検索すると、従来の認可施設のサイトに加え、「全染色体検査ができます」「1回の通院で済みます」と宣伝している、いわゆる『無認可施設』のサイトも多く見受けられます。

新型出生前診断(NIPT)で何がわかるのでしょうか?
ダウン症などの染色体異常が100%わかるのでしょうか?
費用はどれくらいかかるのでしょうか?
『認可施設』と、ネットで宣伝されている『無認可施設』は、どう違うのでしょうか?

新型出生前診断(NIPT)のすべてを、詳しくみていきましょう。

 

新型出生前診断(NIPT)とは?

新型出生前診断

新型出生前診断(NIPT)は、正式名を『母体血を用いた胎児染色体検査』と言い、ママの血液を採取して、お腹の赤ちゃんに染色体異常があるかを調べる検査です。

妊娠中のママの血液には、胎盤から漏れ出てくる赤ちゃんのDNAの断片が混ざっているので、それを分析することで、直接赤ちゃんや羊水などに触れることなく、赤ちゃんの染色体の異常がわかるのです。

新型出生前診断(NIPT)の3大メリットは、

  • 妊娠早期(10週0日以降)に受けられる
  • 検査精度が高い
  • ママの採血だけなので、流産や感染のリスクがない

ということです。
逆にデメリットは、

  • 費用が高い
  • 確定診断ではない(偽陽性がある)ので、陽性を確定するには羊水検査を受ける必要がある

の2点が大きなところでしょう。

2013年に『臨床研究』として日本で検査が開始されてから5年間で、実に5万人以上の妊婦さんが検査を受けました。

さらに2018年3月には臨床研究を終えて『一般診療』となったので、受けられる施設・検査数ともにますます増加していっています。

新型出生前診断(NIPT)はいつ受けるの?

新型出生前診断(NIPT)は、妊娠10週0日から受けることができます。

特に何週までに受けなければいけないということはありません。

ただし、結果によって妊娠継続をあきらめる可能性がある場合、中絶は21週6日までしかできません。

NIPTの結果が出るまでに1~2週間かかり、もし陽性だった場合、確定検査である羊水検査を予約して受け、その結果が出るのに2週間かかることを考えて逆算すると、15週くらいまでに受けておく必要があります。

 

新型出生前診断(NIPT)の痛みは?

新型出生前診断(NIPT)は、ママの腕からの採血のみです。

量も10~20mlと多くありませんので、通常の健康診断の採血の痛みと変わりません。

新型出生前診断(NIPT)のリスクは?

​新型出生前診断(NIPT)は、ママの腕から採血するだけです。

ママ、赤ちゃんともに、リスクはまったくありません。

 

新型出生前診断(NIPT)はどこで受ける?
『認可施設』と『無認可施設』

niptの認可施設と無認可施設

新型出生前診断(NIPT)は、どこで受けたらよいのでしょうか?

総合病院などの『認可施設』と、ネットで宣伝されている『無認可施設』、どちらがよいのでしょうか?

NIPT『認可施設』とは?

日本医学会が認定した『新型出生前診断(NIPT) 認可施設』は、全国に82ヵ所あります。(2020年1月現在)

日本産科婦人科学会は、この『認可施設』で検査を受けることを推奨しています。

NIPTの認可施設として認められる条件は、

  • 産婦人科医・小児科医・臨床遺伝医の全員が常駐している
  • 羊水検査を行える
  • 日本医学会に加盟している

などです。

これらの条件を満たすには、必然的にある程度大きな病院、ということになります。

しかし、3番目の条件である『日本医学会』は任意加盟団体で、会費が高い・診療以外の業務が増える・方針が合わないなどの理由から、あえて加盟していない病院も多く、日本の病院の約4割は未加盟と言われています。

ですので、一概に『認可施設』の方が『無認可施設』よりも優れている、とは限りません。​

 

NIPT『無認可施設』とは?

一方、2016年頃から、日本医学会の認定を受けずに独自に新型出生前診断(NIPT)を行う、『無認可施設』が出始めました。

インターネットなどで広告を出している施設が、それです。

『無認可施設』は、決して違法なわけではなく、上記の『日本医学会が定める条件』を満たしていない、というだけです。

 

NIPTの『認可施設』と『無認可施設』
どう違うの?

 

ダウン症などの的中率は同じ

新型出生前診断(NIPT)では、各施設では血液をとるだけで、実際に検査を行うのは染色体の検査ができる機械を持つ『検査機関』です。

検査機関は、日本・アメリカ・イギリス・ベルギーなどにありますが、どこもほぼ同じメーカーの機械を使っているため、検査の精度(的中率)は変わりません。

ですので、『認可施設』で採血しても、『無認可施設』で採血しても、出てくる結果は同じ、ということです。

新型出生前診断(NIPT)の精度

基本検査の精度
(21(ダウン症)・18・13番のトリソミー)

陰性的中率 : 99.99%
陽性的中率 : 90~98%

『陰性的中率』とは、陰性と診断された方が、本当に陰性である確率です。

『陽性的中率』とは、陽性と診断された方が、本当に陽性である確率です。

『陰性』と診断されれば、ほぼ陰性で確定なのですが、『陽性』と診断された場合は、実際には陽性ではない、いわゆる『偽陽性』のケースが、基本検査で 2~10%あります。

(さらに無認可施設のオプション検査である『微小欠失検査』では、陽性の件数が少ないことも影響して、偽陽性が 33〜89%と高くなります。詳しくはこちらをご覧ください。)

 

検査内容・年齢制限・通院回数・陽性時のサポート体制が違う

では、『認可施設』と『無認可施設』とでは何が違うのでしょうか?

それは、検査の内容・年齢制限・通院回数・専門医による解説の有無・羊水検査などのサポート体制です。

それぞれの概要は次の通りです。

NIPT『認可施設』の概要

  • 検査内容
    『21(ダウン症)・18・13トリソミー』の基本検査のみ
  • 35歳以上(出産予定日)しか受けられない
  • 2~3回の通院が必要
  • 全施設に必ず産婦人科医・小児科医・臨床遺伝医が常駐していて、異常が見つかった際に詳しい解説が受けられる
  • 陽性の際は、同じ施設で羊水検査が受けられ、出産まで一貫してサポートしてもらえる

NIPT『無認可施設』の概要

  • 検査内容
    ・『21(ダウン症)・18・13トリソミー』の基本検査
    ・ 数種類のオプション検査(別料金)
  • 年齢制限がない
  • 1回のみの通院でよい
  • 医師の専門性は、施設により大きく異なる
    (異常が見つかった際、専門医による解説が受けられない施設が多い)
  • 羊水検査の設備がある施設と、無い施設がある

 

どちらで受ければいいの?

では、新出生前診断(NIPT)は『認可施設』と『無認可施設』のどちらで受けるのがよいのでしょうか?

それは、検査の何を重要視するかによって変わってきます。

NIPT『認可施設』

「基本検査のみで、利便性もあまり良くないけれど、専門家による検査前や判定後の解説やカウンセリングがあり、陽性の際の羊水検査や出産まで一貫してサポートしてくれる方が安心」という方は、『認可施設』

NIPT『無認可施設』

「とにかく利便性が良く、検査内容が多い方がいい」という方、また「出産予定日で35歳未満」の方は、『無認可施設』

ということになります。

それでは、『認可施設』と『無認可施設』の違いを、ひとつずつ詳しくみていきましょう。

 

 

新型出生前診断(NIPT)でわかることは?
『認可施設』と『無認可施設』の検査内容の違い

新型出生前診断NIPTでわかること

新型出生前診断(NIPT)の、『認可施設』と『無認可施設』とでの検査内容の違いは、次の通りです。

NIPT『認可施設』での検査内容

​『認可施設』で検査するのは、基本検査と言って、

NIPT『認可施設』の検査内容

  • 21番トリソミー(ダウン症)
  • 18番トリソミー(エドワーズ症)
  • 13番トリソミー(パトウ症)

の3つの染色体異常のみです。

トリソミーとは、染色体の本数が通常より1本多いという異常です。

この3つの番号のトリソミーだけで、妊娠中に見つかる全染色体異常のおよそ72%を占めます。

なぜこの3つだけを検査するかというと、この3つの染色体の本数異常は、出生する可能性があるからです。

1〜22番まである染色体のうち、これら以外の番号の染色体は、生命により深く関わる遺伝情報が多いため、本数の異常があると、ほぼ100%流産もしくは死産となります。
(性染色体の場合を除く)

 

NIPT『無認可施設』での検査内容

一方、『無認可施設』で行う新型出生前診断は、認可施設に比べて検査できる項目が多く、希望によって選べるのが特徴です。

NIPT『無認可施設』の検査内容

  • 21(ダウン症)・18・13番染色体のトリソミーの基本検査(認可施設と同じ)
  • 性別診断(希望者のみ・無料)

以下はオプション検査(希望者のみ・別料金)

  • 全染色体検査(本数異常)
  • 5種類の染色体の微小欠失検査(構造異常)(行っていない施設もあります)
  • 性染色体検査

このように認可施設では実施されていない検査も受けることができます

この認可外施設で行われている『オプション検査』を受ける必要があるのか、迷うところですよね。

これが、『認可施設』で受けるか『無認可施設』で受けるかを決めるポイントになっている方も多いかと思います。

しかし、『全染色体検査』というと、素晴らしい万能検査のような気がしますが、必ずしも受ける意味があるとは言えません

詳しくはこちらで検証していますので、ぜひお読みください。

参照: 無認可施設での『全染色体検査』ってなに? 受けた方がいいの?

 

 

新型出生前診断(NIPT)を受けられる条件は?

新型出生前診断NIPTの詳細

新型出生前診断(NIPT)を受けられる条件も、『認可施設』と『無認可施設』とでは大きく異なります。

簡単に言えば、『認可施設』にはさまざまな条件がありますが、『無認可施設』には一切条件がなく、希望すれば誰でも受けられる、ということです。

『認可施設』で受ける条件

  • 35歳以上(出産予定日)
  • 35歳未満の場合は、以下の条件が必要
    • 染色体疾患を持った赤ちゃんを妊娠、または出産したことのある方
    • お腹の赤ちゃんが、他の出生前診断(超音波検査や母体血清マーカー検査)で、染色体疾患がある可能性の上昇を指摘された場合
    • ママやパパにロバートソン転座(21/13染色体など)がある場合
  • 夫婦ともに検査を希望している(同伴、もしくは同意書の提出)
  • 他の出生前診断で、明らかに染色体異常や形態異常があると診断されていないこと
    (診断されている場合は、すぐに羊水検査の適用となるため)

(出典:NIPTコンソーシアム)

『無認可施設』で受ける条件

  • 年齢制限などの条件は一切なし
  • 夫婦の同伴は必要なく、ママの希望だけで受けられる

 

『認可施設』での新型出生前診断(NIPT)には、なぜ年齢制限があるの?

『認可施設』で新型出生前診断(NIPT)を受けたいのに、35歳未満のために『無認可施設』でしか受けられない、という方もいらっしゃいますよね。

では、なぜ『認可施設』は35歳以上という制限を設けているのでしょうか?

これには、科学的な理由があります。

それは、「35歳以下の方が検査を受けると、正しい結果が出ないことがある」からです。

たとえ検査の精度が99%以上でも、そもそも35歳未満で染色体異常を発症する確率が0.1%以下なので、確率が相殺されて陽性の的中率が下がるのです。

偽陽性の確率が、35歳以上の場合は2~10%なのに比べ、35歳未満の場合、10〜50%近くにまで上ります。

つまり、35歳未満の方が受けると、『陽性』と診断された方のうち、場合によっては半分近くの方が、実際には『陰性』ということが起きてしまうのです。

この偽陽性の可能性は、年齢が若ければ若いほど(染色体異常の発生率が下がるほど)上がります。

日本産科婦人科学会は、実際は『陰性』なのに『陽性』と診断され、不安に陥る妊婦さんが増えることを懸念して、年齢制限を設けているのです。

ただし、『陰性』判定の場合には、35歳以下でもほぼ間違いなく陰性と確定するので、検査を受けることに意味がないわけではありません。

ですのでやはり、『充分なカウンセリング』と『検査結果の正しい解説やサポート体制』が大切だということでしょう。

日本医学会やNIPTコンソーシアムは、この年齢制限を初めとする、検査を受ける条件や、『認可施設』と認定する条件を、近いうちに緩和することを検討していると発表しました。(2018年)

この条件のために多くの妊婦さんが『無認可施設』へ流れ、充分なカウンセリングを受けないまま検査を受けたり、『陽性』が出ても詳しい解説を受けられないことを懸念しているためです。

 

 

新型出生前診断(NIPT)の予約方法・検査の流れ

新型出生前診断NIPT手順

新型出生前診断(NIPT)の、予約から検査当日までの流れを確認していきましょう。

こちらも、『認可施設』と『無認可施設』では異なります。

認可施設の予約方法・検査手順

[予約方法]

  • 妊婦健診で通院している病院の医師を通して予約。
    その病院で検査ができない場合は、できる病院に紹介状を書いてもらう。
  • 直接電話やインターネットで予約を受けつけている病院もある。
    その場合でも、後日、通院している病院の主治医からの紹介状が必要。
  • 総合病院が多いので、平日しか検査できないところがほとんど。

[検査の流れ]

  • 遺伝カウンセリング
    30分~1時間。
    検査当日・または前もって別日に行う。
    原則は『夫婦同伴』。施設によって夫は同意書で代用できるところもある。
    内容は、『遺伝子検査の意義・検査の感度・偽陽性の確率・陽性が出た後のこと』など。
    遺伝カウンセリングの費用は、検査費用に含まれる施設と別料金の施設がある。
  • ママの腕から10~20cc採血
    → 病院は、検体を検査機関(日本・アメリカなど)に輸送。

無認可施設の予約方法・検査手順

[予約方法]

  • 電話もしくはインターネットで申し込み。
  • 紹介状は不要。
  • 土日も検査できる施設が多い。

[検査当日の流れ]

  • 医師の問診、もしくは遺伝カウンセリング
    3分〜1時間。
    検査当日に行う。
    どれだけ詳しく説明してくれるかは、施設による。
    医師もそれほど詳しくない場合が多く、偽陽性の説明などもなく、3分くらいで終わってしまうことも。
    夫婦同伴は必要ない。
    遺伝カウンセリングは別料金の施設が多い。
  • ママの腕から10~20cc採血
    →病院は、検体を検査機関(アメリカ・イギリス・ベルギーなど)に輸送。

 

利便性や手軽さでいうと、断然、『無認可施設』に軍配が上がります。
『認可施設』は、紹介状が必要だったり、平日に何度も通院しなければならなかったりするところが、ネックですよね。

その反面、もし陽性が出た時のことを考えると、『認可施設』での専門医師による診断や解説、充実した遺伝カウンセリングは、やはり安心感があり、捨てがたいです。

なお、認可・認可外施設とも、検査前の食事制限はなく、検査後の日常生活上の制限なども一切ありません。

新型出生前診断(NIPT)にかかる費用は?保険はきく?

新型出生前診断(NIPT)には健康保険が適用されないため、全額自己負担となります。

各医療保険も、残念ながら給付対象外です。

検査の費用は大まかに次の通りです。

特に無認可施設は、施設によって料金が大きく異なります。

NIPT『認可施設』の検査費用

  • 基本検査(21(ダウン症)・18・13トリソミー)
    15~22万円

※ 陽性判定時の羊水検査料は、検査費用に含まれます。

NIPT『無認可施設』の費用

  • 基本検査(21(ダウン症)・18・13トリソミー)
    9~20万円
  • 性染色体検査
    基本検査料+ 1〜3万
  • 全染色体検査(微小欠失検査を含む)
    基本検査料+ 5〜15万円

※ 陽性判定時の羊水検査料は、10〜15万円程度の補助が出るところが多いです。

新型出生前診断(NIPT)の結果が出るまでの日数・結果の開示方法

新型出生前診断NIPT結果

新型出生前診断(NIPT)の結果が出るまでの日数や、結果の開示方法は、以下の通りです。

日数は、施設や検査機関の混み具合などによって、大きく開きがあります。

NIPT『認可施設』の結果

[結果が出るまでの日数]

  • 基本検査(21(ダウン症)・18・13トリソミー)の結果が出るまでの日数
    6~14日

[結果の開示方法]

  • 病院に行き、臨床遺伝医や遺伝カウンセラーから、直接結果を聞く。
  • 『陽性』の場合には、30分~1時間ほど、結果の詳しい解説・今後の相談・羊水検査の予約などをする。

NIPT『無認可施設』の結果

[結果が出るまでの日数]

  • 基本検査(21(ダウン症)・18・13トリソミー)
    6~14日
  • オプション検査(性染色体・全染色体・微小欠失検査)
    14~20日

[結果の開示方法]

  • 来院・遠隔診療・郵送・メールのいずれか。
  • 来院と遠隔診療の場合は、医師などから直接結果を聞くことができる。
    (ただし、遺伝子検査に関する専門家ではないケースが多い。)

検査結果の内容については、委託した検査機関から送られてくるものなので、認可施設でも無認可施設でも変わりありません。

結果用紙は、日本語で書かれているものもあれば、英語で書かれているものもあります。

英語のものには日本語訳が付いていますが、直訳で言い回しが分かりにくかったりして、正確な意味を読み取るのが難しい場合もあります。

まったくの『陰性』の場合は問題ないのですが、『陽性』だったり、『陰性だけれど但し書きが付いている』、というときには、自分たちだけで細かいところまで解釈するのは難しい場合もあります。

 

結果が出ないこともある

ごくまれですが、新型出生前診断(NIPT)で、『判定不能』となるケースがあります。(100人に1人以下)

新型出生前診断(NIPT)は、胎盤から漏れ出てママの血液中に混ざる赤ちゃん由来のDNAを調べるのですが、そのDNAの濃度が低いと、染色体を分析できないことがあるのです。

特に、10週に入ってすぐに検査を受けた場合に、判定不能になることがあるようです。

その場合は、濃度が濃くなるのを待って再検査するか、羊水検査に切り替えることになります。

 

 

『無認可施設』を選ぶときは、必ず『陽性』判定後のサポート体制を確認しよう

新型出生前診断NIPTの施設選び

もし新型出生前診断(NIPT)を『無認可施設』で受けたい場合、同じ結果が出るならばどこで受けてもよいのでしょうか?

いいえ、たとえ結果が同じでも、どの施設で受けるかを慎重に選ぶことをおすすめします。

その理由と選び方をみていきましょう。

 

必ず遺伝の専門家のいる施設で受けよう

ここまでにも何度か述べてきましたが、新型出生前診断(NIPT)は、『認可施設』では必ず専門性の高い産婦人科や臨床遺伝医などが検査を行っていますが、『無認可施設』ではそうではないところがあります。

それは、採血した血液を検査機関に送り、検査結果の紙を患者さんにメールや郵送で送るだけなら、何科の医師でもできるからです。

産婦人科や小児科が行っているところならまだ安心ですが、内科や美容外科が行っているところなどもあります。

現に、新規参入している施設は、なぜか『美容外科』が多いのです。

専門的な知識を持たない医師が、詳しい説明もせずに検査をし、何か異常が見つかったときに正しい解説やその後のサポートをしてもらえない、ということが実際に起こっています。

新出生前診断(NIPT)は、『ダウン症かどうか』と判断する検査ではありません。

聞き慣れない種類の染色体異常だったり、ごく微細な異常だったり、自分たちだけで調べてその後のことを判断するには難しい場合もあります。

また、新型出生前診断(NIPT)では、実際には陰性なのに陽性と診断されてしまう『偽陽性』の確率が、基本検査で 2〜10%、無認可施設の微小欠失検査で多いものだと90%近くもあります。

ですので、偽陽性の説明を充分に受けずにその後の選択をしてしまうことは、とても危険なことです。

実際に、2013年に日本で新型出生前診断が始まってから、『陽性』と診断されたあと、確定診断である羊水検査を受けないまま中絶したケースが数件報告されています。

「陽性診断が出た際に、信頼できる遺伝カウンセリングを受けられる」というのは、施設を選ぶ際の大切なポイントになるでしょう。

 

できれば羊水検査まで行える施設が安心

さらには、

「陽性と診断が出た際には、責任を持って羊水検査を受けられる病院を紹介します」

と書いてあるにもかかわらず、実際に行ってみたら、紹介先の施設が『NIPTの全染色体検査』に理解がないなどの理由で、羊水検査をしてもらえないトラブルも起きているようです。

『陽性が出た』という不安の中、お腹の赤ちゃんを抱えながら羊水検査をしてくれる病院を探したり、ときには中絶できる病院を自分たちだけで探すのは、想像を絶する日々でしょう。

必ず『陽性』が出た時のことを考えて、しっかりと解説やアフターフォローを受けられる施設を慎重に選びましょう。

決して、利便性やホームページで謳っている施設の豪華さなどだけで選ぶことのないようにしましょう。

参照:『無認可施設』一覧
(担当医師が何科の専門か・羊水検査が実施可能か)

 

新型出生前診断(NIPT)でもわからないことはあるの?

『新型出生前診断(NIPT)』は、ママの血液だけで赤ちゃんの染色体異常がわかる画期的な出生前診断ですが、もちろんこの検査だけではわからないこともあります。

 

形態異常は超音波でしかわからない

染色体異常を伴わない骨格の異常、多指症など、赤ちゃんの形態の異常は、新型出生前診断(NIPT)ではわかりません。

これらは、超音波による精密検査で診断されることが多いですので、新型出生前診断(NIPT)を受ける場合でも、胎児超音波スクリーニング検査(胎児ドック)も併せて受けると安心です。

 

染色体異常の中でも、わからないことがある

もし、認可外施設での『全染色体検査』や『微小欠失検査』を受けたとしても、染色体異常が100%わかるわけではありません

新型出生前診断(NIPT)では、ママの血液を採取し、その中に含まれる赤ちゃんの微量のDNAの断片が、何番目の染色体由来のものかを判定し、染色体の異常を調べます。

全染色体の『数の異常』と、一部の染色体の『構造異常』(1・4・5・15・22番の5種類の染色体のみ)は統計学的に推定できますが、それ以外の番号の構造異常や、転座などのDNA配列の異常は、わかりません。

これらは、羊水検査である程度は診断することができます。

 

染色体異常以外の病気はわからない

無事に生まれる赤ちゃんのうち、約3~5%は、何かしらの治療が必要な病気を持って生まれてくると言われています。

染色体異常をもって生まれる赤ちゃんは0.92%ですので、染色体異常以外の病気をもって生まれる赤ちゃんも100人中2~4人いるということです。

新型出生前診断(NIPT)では、染色体異常を伴わない病気や、遺伝子異常については、発見することができません。

心疾患、臓器の異常、血流の異常などは、超音波スクリーニング(胎児ドック)で判明するケースもありますが、生まれるまでわからない場合もあります。

 

双子の場合は、的中率が下がる

双子以上の妊娠の場合は、検査の精度が下がります。

もし『陽性』と診断が出た場合には、1人だけが陽性なのか、2人とも陽性なのかは判別できません。

また性染色体については、検査ができません。

バニシングツイン(双胎一児死亡)の場合は、検査は通常通り10週から行えることが多いですが、検査結果の正確度は下がるようです。

 

まとめ

新型出生前診断NIPTまとめ

新型出生前診断は、ママの血液検査だけで赤ちゃんの染色体異常が高精度でわかる、という画期的な検査です。

他の出生前診断と比べると、赤ちゃんへのリスクや母体への負担もなく、費用が高い点を除けば、気軽に受けられる検査と言えるでしょう。

一方、病院側としても、採血して検査機関に検査を依頼し、その結果用紙を患者さんに渡すだけ、という手軽さから、遺伝学や産婦人科の専門医でなくても検査をする『無認可施設』が増えてきています。

しかし、その手軽さの反面、『検査結果の重大性』は、他の出生前診断と変わりありません。

必ず『何か異常がある』と診断が出たときのことを想定して、詳しい解説やカウンセリングを受けられ、できれば同じところで羊水検査まで行える施設を選ぶことが大切です。

信頼できる医師のもとで、しっかり納得した上で検査を受けるようにしましょう。

 

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