葉酸の基礎知識

葉酸にダウン症のリスクを減らす効果がある?

葉酸とダウン症

「妊娠前から葉酸を摂取すると良い」、ということは、大分浸透してきましたよね。

葉酸を妊娠前からとることによって、無脳症などの赤ちゃんの『神経管閉鎖障害』のリスクが減ることがわかっています。

しかし、特に高齢出産をめざす方にとって一番気になるのは、やはり『ダウン症』ではないでしょうか?

ダウン症は、赤ちゃんの先天性異常の中で、一番割合が高い疾患です。

では、『葉酸』にはダウン症のリスクも減らす効果があるのでしょうか

食育栄養コンサルタントが詳しく検証していきます。

 

日本はダウン症等の発症率が高い

日本の先天性異常の発症率は、アメリカの8倍・イギリスの6倍

あまり知られていませんが、日本はダウン症を含む先天性異常の発症率が高いという事実があります。

その数、なんとアメリカの8倍、イギリスの6倍です。

驚きですよね。

なぜなのでしょうか?

高齢出産の増加や、現代の食生活の偏りは、どの先進国もそう変わりはないはずです。

そこには、出生前診断の普及状況、中絶への倫理的な考え方、人種別の遺伝的要因など、さまざまなことが関わってきますが、葉酸の摂取事情もまた、要因の一つになっているのではないかと考えられています。

 

葉酸が、無脳症・二分脊椎症・ダウン症のリスクを減らすメカニズム

葉酸とダウン症のリスク

ではまず、『葉酸』が赤ちゃんの先天性疾患にどのように関わっているのか、その仕組みを見ていきましょう。

 

葉酸は『神経管閉鎖障害』を防ぐ

卵子と精子が無事に受精すると、その受精卵は約1週間かけて卵管から子宮に移動して、着床します。

その頃から、受精卵の細胞分裂やDNA合成が活発におこなわれていきます。

この受精から4週間くらいまでの時期が、人間の成長の中でもっとも細胞分裂が盛んな時期と言われています。

まず初めに神経管から上下に『脳』と『脊椎』が形成されます。

そのとき、ママの葉酸の血中濃度が不足すると、次のようなことが起こります。

ママの葉酸の血中濃度が不足

血中の悪玉物質であるホモシステインの値が上昇

・神経管の細胞分裂が失敗する
・DNA合成がうまくいかなくなる

神経管閉鎖障害が起こる

神経管の分裂の途中で、

神経管の上部が閉鎖されると『無脳症
下部が閉鎖されると『二分脊椎症

になります。

その他、脳瘤、水頭症など、さまざまな症状があらわれます。

(葉酸不足以外にも、飲酒・喫煙・薬の使用・遺伝的要因などが、神経管の形成がうまくいかなくなる原因になると言われています。)

神経管が形成されるのは、時期にして妊娠4週目(受精2週目)~妊娠8週目あたりです。

8週までには、脳や脊髄の神経細胞のおよそ8割が作られると言われていますので、妊娠の超初期にママの血中の葉酸の濃度をしっかり上げておくことが大切なんですね。

 

1991年、アメリカ・イギリスなど欧米7カ国で行われた大規模な臨床実験で、

「妊娠前から葉酸を摂取することにより、赤ちゃんが神経管閉鎖障害になるリスクが、約70%減る」

という研究結果が発表されました。

妊娠前からママの血中の葉酸濃度を上げておくことで、ホモシステインの代謝をうながし、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクを減らす効果があるということが、医学的に証明されたのです。

 

注意ポイント

神経管閉鎖障害のリスクを減らす効果が医学的に証明されたのは、葉酸サプリなどに含まれる『合成のモノグルタミン酸型葉酸』のみです。
食べ物に含まれる『天然のポリグルタミン酸型葉酸』では、その効果は証明されていません。
欧米で穀物に添加されているのも、『合成モノグルタミン酸型葉酸』です。

 

葉酸は『ダウン症』も防ぐ?

では、この神経管閉鎖障害と、『染色体の本数異常であるダウン症』とは、何か関係があるのでしょうか?

葉酸は、『ダウン症』のリスクも減らす効果があるのでしょうか?

じつは、

神経管閉鎖障害の赤ちゃんを妊娠した経験のあるママが、別の妊娠で赤ちゃんのダウン症を発症しやすい

というデータがあるのです。

そしてその理由については、

「神経管閉鎖障害の原因となる『ホモシステインの代謝異常』がダウン症の発症にも関わっていて、葉酸でホモシステインの代謝を正常に促すことで、ダウン症の発症を抑えることができるのではないか

と考えられているのです。

実際に、2003年に世界5大医学誌の一つ『ランセット(Lancet)』において、

「妊娠前の葉酸摂取が、ダウン症のリスクを減らす可能性がある」

という論文が発表され、その後も欧米の医学誌で、その仕組みを研究する論文が多数発表されてきました。

ただし、そもそも21番染色体の異常からダウン症が発症する仕組み自体が、まだ完全には解明されていません。

(2013年の東京大学大学院の研究で、「21番染色体が1本多いことで、神経幹細胞の働きを鈍化させて神経細胞が生み出されなくなり、ダウン症を発症する」というところまではわかっているようです。)

ですので、葉酸が何らかの形でダウン症のリスクの減少に関わっている『らしい』、ということはわかっていても、その仕組みはまだ完全には解明されていないのです。

ですので、今の段階ではこのランセットの発表の通り、

葉酸はダウン症のリスクを減らす可能性がある

とまでしか言えません。

 

日本と欧米の葉酸摂取の現状は?

しかし、葉酸がダウン症リスクを減らすという研究はまだ途上であるものの、実際には効果が出ているようです。

葉酸摂取の対策が早かった欧米と、日本の現状をそれぞれみていきましょう。

 

欧米では早くから政府主導で葉酸を摂取

葉酸サプリとダウン症

葉酸サプリの推奨と、穀物への葉酸の添加

1991年の「葉酸で赤ちゃんの神経管閉鎖障害の約70%を防げる」という研究発表を受けて、欧米では、政府主導で葉酸の摂取が積極的におこなわれていきました。

効果が実証されている『モノグルタミン酸型葉酸』の入った葉酸サプリの推奨に加え、1998年にはアメリカで穀物(小麦・米など)にモノグルタミン酸型葉酸を添加することが法律で義務付けられました。

『義務』になるとは、日本では考えられないすごいことですよね。

今では、欧米を中心に世界数十カ国で、『穀物食品への葉酸の配合』が実施されています。

 

ダウン症を含む先天性異常が10分の1に

もともとサプリメントを飲むことが日常化していたアメリカやイギリスでは、葉酸サプリが普及するのにそれほど時間はかかりませんでした。

病院に不妊治療で訪れる女性、妊娠判定に訪れる女性に、医師から葉酸・ビタミン・ミネラルが配合されたサプリメントが処方され、『妊娠には葉酸』という常識が、あっという間に広まりました。

その結果、アメリカとイギリスで、葉酸の摂取を推奨し始めてたった10年間で、ダウン症を含む赤ちゃんの先天性異常の発症率が10分の1にまで減ったのです。

もちろん、葉酸以外の要因もあったのかもしれませんが、10分の1とは驚異的な数字ですよね。

 

日本の対応は?

葉酸でダウン症のリスクを減らす

母子手帳に記載、でも妊娠に気がついてからでは遅い

日本ではどうかと言うと、欧米で神経管閉鎖障害への効果が認められてから11年後の2002年に、ようやく厚生労働省の指示で、母子手帳に葉酸摂取の必要性が記載されるようになりました。

それでも、母子手帳の中のたった1行を、すべての妊婦さんが逃さず読む、というのは難しいのではないでしょうか。

そもそも、赤ちゃんの神経管が作られるのは、妊娠4~8週目くらいの時期ですので、葉酸は妊娠に気づく前から摂取しなければなりません

妊娠して母子手帳をもらってから飲み始めるのでは、もう遅いのです。

今はインターネットが普及し、各自で調べて情報を得ることができますが、2000年代初めにはスマホも普及しておらず、日本では葉酸の大切さがなかなか浸透していかなかったことが想像できます。

 

厚生労働省の発表がすべてではない!?

日本の厚生労働省は、残念ながら原則的に『日本で』研究され立証されたことしか認めない傾向にありますよね。

葉酸の神経管閉鎖障害への効果については、今でも

「現時点では明確な根拠はないが、欧米諸国や中国での研究で一定の成績が得られているため、方策を講じることが適切である。」

という言い方しかしていません。

病院や医師も、厚労省の管轄下にあるので、同じような言い方しかできないですよね。

もちろん、ダウン症については一切触れていません。

厚生労働省の批判をするつもりはないですし、慎重なのは必ずしも悪いことではないのですが、

「政府の発表や医師の指示がすべてではない」

ということです。そして、

欧米の対応とタイムラグがある

ということを知っておく必要があると思います。

それは、葉酸だけに限らず、他の医学的なことに関して、また放射能や添加物の基準に関してなどにも言えることですよね。

葉酸のダウン症への効果が日本で研究発表され、厚労省が『ダウン症』のために葉酸の摂取を推奨することは、もし実現するとしても、まだまだ先になるのではないでしょうか。

しかし、海外で葉酸とダウン症の研究が進んでいて、効果を示唆する論文がたくさん発表されているということは、心に留めておいた方がよいかもしれませんね。

 

妊娠を考え始めたら、葉酸サプリを摂取しておこう

葉酸でダウン症を防ぐ

妊娠した後に出生前診断などを受けて命の選択をしなければならないことは、とてもつらいことですよね。

特に35歳以上で妊娠出産をめざす方は、ダウン症や先天性異常のリスクがどうしても高くなります。

(ダウン症の赤ちゃんを出産することを、否定するわけではありません。ここではその議論は避けさせていただきます。)

葉酸は、過剰に摂取しなければ副作用のない栄養素です。

いまのところ、葉酸でダウン症のリスクを減らせる『可能性』しかありませんが、少しでもその可能性があるのなら、摂取しておくことに越したことはないですよね。

葉酸は水溶性のビタミンで、体に溜めておくことはできません。

効果が出るのにも時間がかかりますので、妊娠を考えたそのときから、毎日コツコツと葉酸を摂取していきましょう

 

 

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