葉酸の基礎知識

妊娠中のザクロ・プラセンタ・大豆イソフラボンは大丈夫?

妊娠中のザクロ

妊活中に葉酸サプリや妊活サプリを飲み始める方が多いと思います。

葉酸・妊活サプリの中には、『ザクロ』『プラセンタ』『大豆イソフラボン』などが、妊活成分・美容成分として配合されているサプリもありますよね。

それらには、女性ホルモンを調整したり増やしたりする働きがある、ということを聞いたことがあるのではないでしょうか?

ではそれらの成分は、妊娠してからも飲み続けていいのでしょうか?

もし、妊娠していることに気がつかずに飲み続けてしまうと、何か影響はあるのでしょうか?

ここでは、妊娠中に飲むサプリで気になる成分を徹底分析していきます。

 

〇『ザクロ』は妊娠中でも大丈夫

ざくろは妊娠中に摂取できるか

ザクロには女性ホルモンは入っていない!?

『ザクロ』といえば、古来から子宝に恵まれる果物として知られていますよね。

少し前まで、ザクロには卵胞ホルモン『エストロゲン』の一種である『エストロン』という成分が含まれていて、妊娠をサポートすると考えられてきました。

そして、その女性ホルモンへの影響から、ザクロは妊娠中は摂取しない方がよいと聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

しかし 2000年の国民生活センターの調査で、

ザクロには『エストロン』は含まれていない」

と正式に発表されたのです。

この調査では、カルフォルニア産・イラン産・日本産のザクロ果実 計7個について、果汁部分と種子部分に分けて調べられ、どちらからも『エストロン』はまったく検出されなかったとのことです。

ただし、ザクロの種子部分からのみ、同じく女性ホルモン・エストロゲンの一種である『クメステロール』が検出されています。

しかしその量は、0.017ppm~0.76ppmという大変微量で、ザクロの固くて小さな種を約 1000個割って中のエキスを抽出しても、たったの 17mgしか摂取できない計算になります。

とても女性ホルモンに影響を与える量ではありません。

また同じ調査で、市販のザクロ製品(ジュース・濃縮エキス・サプリなど)10銘柄についても成分が分析されています。

こちらも、ザクロの果汁を使ったもの、種子を使ったもの、どちらからも、女性ホルモン『エストロン』も『クメステロール』も一切検出されなかったそうです。

ちなみに、調査対象となったザクロ製品は、誰もが知っている大手食品メーカーのものや、1包¥8,800もする高価なものも含まれていました。

ザクロの効果を信じて愛用していた方にとっては、当時少し衝撃的なニュースとなりました。

 

なぜ『ザクロ』は子宝果物と呼ばれてきたの?

ではなぜ、ザクロが妊娠に良いということが言われてきたのでしょうか?

それは、昔の人がザクロは1本の木に多くの実をつけ、その1つ1つの実の中に種がたくさん入っていることから、ジンクス的な意味合いで子宝に恵まれると言われてきたのだと考えられています。

お正月に数の子などを食べるのと同じですよね。

ちなみに、ザクロには、カリウム・ビタミンC・鉄分・ポリフェノールなどの栄養素が豊富に含まれていますので、女性ホルモンの効果はなくても、妊娠しやすい体を作る効果は期待できるかもしれませんね。

 

まとめ ~『ザクロ』は妊娠中に飲んでも大丈夫!

以上のことから、ザクロを妊娠中に摂取しても、まったく問題はありません。

逆に、妊活中に女性ホルモンの作用を期待してザクロ入りのサプリなどを飲んでも、残念ながら効果はない、ということです。

また、もし妊活中や妊娠中に健康な体作りのためにザクロを飲む場合には、できるだけ添加物や砂糖の入っていないものを選ぶことをおすすめしますよ。

特にザクロジュースには大量の砂糖が入っているので、その糖分が体の老化を進め、妊活に逆効果になる可能性もあるので、注意しましょう。

 

 

△ 妊娠中の『プラセンタ』は賛否両論ある

妊娠中のプラセンタ

次に、妊娠中のプラセンタの摂取についてみていきましょう。

プラセンタは、言わずと知れた美容成分ですよね。

しかし美容目的だけではなく、女性ホルモンの分泌を正常値に調整する役割があるため、不妊治療に取り入れられている病院もあります。

葉酸サプリや妊活サプリにプラセンタが配合されていることもありますよね。

女性ホルモンに関係のあるプラセンタ、妊娠してからも飲み続けて大丈夫なのでしょうか?

 

プラセンタとは?
なぜ不妊治療に使われるの?

妊娠とプラセンタ

プラセンタは、赤ちゃんをはぐくむ胎盤から抽出される成分です。

その歴史は古く、紀元前400年から不老長寿の薬として用いられてきたと言われています。

医療機関で使用されるプラセンタ注射薬には『ヒト』の胎盤、サプリや化粧品には『豚』や『馬』の胎盤が使われることが多いようです。

まれに『羊』の胎盤が使われることもあります。

プラセンタには、細胞や組織の新陳代謝を促したり、体が本来持っている自然治癒力を高める作用があり、疲労回復やストレス解消などの効果が期待できます。

また、女性ホルモンの分泌量を調整するように脳に指令を出し、女性ホルモンが足りないときは分泌をうながし、多すぎるときは分泌を抑える作用もあります。

そのため、プラセンタは疲労・加齢・ストレスなどによって狂ってしまった女性ホルモンのバランスを正常に整え、妊娠しやすい体作りをサポートしてくれるのです。

これらのプラセンタの効能は医学的にも認められていて、医療の現場でも取り入れるところが増えています。

 

プラセンタは妊娠してからも飲み続けて大丈夫?

プラセンタは、体調を整え、美容効果もあり、ストレス解消などにも有効なので、できれば妊娠してからも飲み続けたいですよね。

しかし、妊娠中のプラセンタの摂取については、医師や専門家の間でも次のように賛否が分かれています。

妊娠中もプラセンタOK派!

  • プラセンタ自体にはホルモン成分は含まれていないので、妊娠中に摂っても安全である。
  • プラセンタは、ホルモンバランスを正常に保つように脳に指令を出すだけで、特定のホルモンを増加させてしまうことはない。
  • これまでに、明らかに妊娠中のプラセンタ摂取が原因となった流産や赤ちゃんの疾患などは、報告されていない。
  • 妊娠中の体調不良・疲労感・ストレスなどを改善し、免疫力を上げてくれるので、むしろ飲んだほうがよい。

 

妊娠したらプラセンタNG派!

  • 妊娠中のホルモンバランスの調整は、体本来の力に任せるべきであり、外部から影響を与えるべきではない。
  • プラセンタは、まれにアレルギーを起こすことがあるので、そのリスクは避けるべき。

 

なぜこのように意見が分かれているのでしょうか?

それは、プラセンタにはまだ未知の部分が多く、その作用については現在でも多くの研究者たちがさまざまな観点から研究を進めている途中だからです。

さらに、妊娠中の女性に対して治験ができないので、安全性の確かめようがないのです。

(これは他の成分についても同じことが言えますが)

ですので、今の時点では、一概にプランセンタを妊娠中に飲んで良いとも悪いとも言えないのです。

 

豚プラセンタのアレルギーに注意!

しかし、プラセンタを摂取する上で、ひとつだけ注意しなければならないことがあります。

それは、プラセンタNG派の意見にもあった、『アレルギー』です。

特に『豚プラセンタ』は抗原度(病原体の割合)が高い場合があり、お腹の中の赤ちゃんのアレルギーを引き起こす可能性があるといわれています。

それに対し『馬プラセンタ』は、抗原度はとても低く、アレルギーを引き起こすことはまずないといわれています。

もし妊娠中に摂取するなら、豚由来のプラセンタは避けるようにしましょうね。

 

まとめ ~『プラセンタ』の妊娠中の摂取は、良いとも悪いとも言えない

このように、プラセンタについては、妊娠中でも飲んで大丈夫という意見と、飲まないほうがいいという意見に分かれています。

ただ、いわゆる『プラセンタサプリ』には大抵 200mgぐらいのプラセンタが入っていますが、『葉酸・妊活サプリ』には、せいぜい数mgしか入っていないことが多いです。

ちなみに、「プラセンタを配合している」と謳っている某有名な葉酸サプリの販売元に確認したところ、0.2mgしか入っていないとのことでした。

わずか 0.2mgでは、良い効果も悪い影響も、どちらもないでしょうね。

ですので、『葉酸・妊活サプリ』にプラセンタ が入っている場合は、販売元に配合量を確認してみましょう。

もし微量なら、プラセンタの女性ホルモンへの影響をそれほど気にする必要はないでしょう。

ですが、アレルギーについては、ごく少量でも反応することがあるので、念のため販売元に『豚プラセンタ』を使用していないかどうか確認することをおすすめしますよ。

 

 

×『大豆イソフラボンサプリ』は妊娠中は控えよう

妊娠中の大豆イソフラボン

続いて、妊娠中の大豆イソフラボンの摂取についてみていきましょう。

大豆イソフラボンとは?

大豆イソフラボンとは、フラボノイドの一種で、大豆胚芽に特に多く含まれる成分です。

大豆イソフラボンは、妊娠に必要な卵胞ホルモン『エストロゲン』と化学構造が似ていて、エストロゲンの不足を補ったり、ホルモンバランスを整えて月経周期を調整したりしてくれます。

また、抗酸化物質でもあり、卵子などの細胞を攻撃する『活性酸素』の働きを抑えてくれる作用もあります。

大豆イソフラボンは、そのホルモン作用から、乳がんや骨粗しょう症を予防すると言われています。

しかし、過剰摂取をすると逆に乳がんのリスクを高めることがわかり、数年前にニュースなどで話題になりましたね。

でもそれは、サプリなどで高濃度の大豆イソフラボンを過剰摂取した場合のみで、食べ物からは多くとっても体外に排出されるため、副作用はないと言われています。

 

大豆イソフラボンは妊娠中に摂取しても大丈夫?

では、妊娠中に大豆イソフラボンを摂取しても大丈夫なのでしょうか?

結論から言うと、

食べ物から → OK
サプリから → NG

となります。

『プラセンタ』がホルモンバランスを整えるように脳に指令を出すだけなのに比べて、『大豆イソフラボン』はそれ自体にホルモン作用があります。

上でも書いたように、大豆製品などの食品から大豆イソフラボンをたくさん摂っても、一定量しか体内には吸収されず、多い分は体外に排出されるため、ホルモンバランスに影響を与える心配はありません。

しかし、『大豆イソフラボンサプリ』から摂取すると、ホルモンバランスが崩れて、赤ちゃんの健康(生殖機能)に影響を与えてしまう可能性が指摘されています。

内閣府の食品安全委員会も、

「妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)・胎児・乳幼児・小児は、特定保健用食品として大豆イソフラボンを日常的な食生活に上乗せして摂取することは、推奨できない」

という見解を示しています。

(この場合の特定保健用食品とは、高濃度の大豆イソフラボンを含むサプリメントのことです。)

『妊娠の可能性のある方を含む』ということは、妊娠に気がつきにくいごく初期(妊娠判定日・生理予定日前後)でも、影響があるかもしれないということですよね。

となると、妊活中も念のために『大豆イソフラボンサプリ』は控えたほうがよいかもしれません。

 

葉酸サプリや妊活サプリには、微量しか入っていない!?

ただし、ここで言う『大豆イソフラボンサプリ』とは、大豆イソフラボンが主成分としてたくさん入っているサプリのことです。

『大豆イソフラボンサプリ』には、どれも大体 25mg前後の大豆イソフラボン成分が入っています。

それに比べ、『葉酸サプリや妊活サプリ』に大豆イソフラボンが含まれている場合には、上記のプラセンタ同様、ごくごく微量しか入っていない可能性が高いです。

もし微量の大豆イソフラボンが入っている『葉酸サプリや妊活サプリ』を、妊娠に気がつかずに飲み続けてしまったとしても、それが赤ちゃんに影響を及ぼす可能性は少ないでしょう。

気がついた時点で飲むのをやめれば問題ありませんので、心配しすぎないようにしましょうね。

 

まとめ ~妊娠中の「大豆イソフラボン『サプリ』」の摂取はよくない

大豆イソフラボンは、その成分自体に女性ホルモンの働きがあるため、妊娠中に『大豆イソフラボンサプリから』摂ることはやめましょう。

妊娠超初期にも影響がある可能性があるため、念のために妊活中から控えておくことをおすすめします。

しかし、『葉酸サプリ・妊活サプリ』に大豆イソフラボンが含まれている場合は、おそらく微量ですので、それほど気にする必要はありません。

もし気になる場合には、販売元に含有量を問い合わせてみるといいですよ。

また、豆乳や納豆など、食べ物からとる大豆イソフラボンは、妊娠中でも特に制限は設けられていません。

妊活に『大豆イソフラボン』の効果を取り入れたいときには、食べ物から摂取するようにしたいですね。

 

 

妊娠中に飲むサプリは、成分をよく確認しよう

妊娠中のサプリメントの成分

以上のように、サプリの成分には、ホルモンバランスに影響を与えるものがあり、妊娠中の服用には注意が必要なことがあります。

上記以外にも、プエラリア・レッドクローバーなども、女性ホルモン様物質を含むため妊娠中には飲まないほうがよいとされています。

また、アロエ・モリンガ・ダミアナ・サラシアなどのハーブ類も、子宮の収縮作用などがあり、妊娠中にサプリなどで体に摂り入れるのはよくないと言われています。

自然由来の成分だからといって、安全とは限りません。

妊活中・妊娠中にサプリを飲む場合には、成分をよく見て、もし心配なときにはかかりつけのお医者さんに確認してから飲むようにしましょう!

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