お腹の中の赤ちゃんを、生まれる前に検査できる出生前診断。
その中でも、『確定診断』として最も一般的なものが、『羊水検査』です。
高齢出産の増加に伴い、羊水検査を受ける妊婦さんの数も、年々増え続けています。
『確定診断』とは、精度がとても高く、結果にほぼ間違いがないとされるものです。
単独で検査されることもありますが、他の『非確定診断』で陽性が出た際に、結果を確定させるために使われる場合もあります。
では、確実ではない『非確定診断』を受けるよりも、最初から精度の高い『確定診断』である羊水検査を受ければよいのでは?と思いますよね。
しかし、羊水検査は子宮に針を刺すため、ママの血液検査などに比べると、全くリスクが無いとは言えません。
そのため、日本産科婦人科学会も、羊水検査を最初に受けることを積極的にはすすめていないのです。
羊水検査とは、どういうものなのでしょうか?
本当に流産のリスクがあるのでしょうか?
麻酔・痛み・費用・わかること・精度
などなど、羊水検査のすべての疑問を詳しく解説していきます。
羊水検査とは?
羊水検査とは、1960年代から行われている、歴史も実績もある信頼性の高い検査です。
日本では、1年間に約2万件の羊水検査が行われています。
羊水検査は、『羊水穿刺(せんし)法』とも呼ばれるように、ママのお腹の上から注射針を刺し、羊水を採取します。
羊水の中には、赤ちゃんの皮膚などから脱落した細胞が、ごくわずかに含まれています。
そのわずかな細胞を培養させて、赤ちゃんに染色体異常がないかなどを検査するのです。
羊水検査を受ける時期は?
羊水検査は、妊娠のどの時期に受けられるのでしょうか?
羊水を採取するには、ある程度子宮が大きくなり、羊水の量がたっぷりあることが必要です。
ですので羊水検査は、羊水量が増える妊娠15週以降に行われるのが一般的です。
細胞を培養するのに時間がかかるため、検査を受けてから結果が出るまでに2~4週間を要します。
結果によっては、妊娠継続をあきらめる選択をする可能性がある場合、法律により21週6日までしか中絶手術ができません。
逆算して、羊水検査は18週までに受けられるように計画しておきましょう。
羊水検査を受ける条件は?
羊水検査は、希望制です。
出産までの通院スケジュールに自動的に組み込まれていることは、まずありません。
エコーやマーカー検査などで染色体異常の疑いがある場合に医師からすすめられることもありますが、基本的には妊婦さん側からの希望を受けて、医師が検査をするかどうか判断します。
ですので、羊水検査は、
① 妊娠中の夫婦から希望があり、
② 医師が検査が妥当だと判断し、
③ 夫婦に遺伝カウンセリングを行い、検査について理解が得られた
場合に、受けることができます。
(③の遺伝カウンセリングは、病院によっては省略されることもあります。)
医師の判断基準は、日本産科婦人科学会が以下の通りに定めています。
- 夫婦のいずれかが、染色体異常の保因者である場合
- 染色体異常症に罹患した児を妊娠、分娩した既往を有する場合
- 高齢妊娠の場合
- 妊娠が新生児期もしくは小児期に発症する重篤なX連鎖遺伝病のヘテロ接合体の場合
- 夫婦の両者が、新生児期もしくは小児期に発症する重篤な常染色体劣性遺伝病のヘテロ接合体の場合
- 夫婦の一方もしくは両者が、新生児期もしくは小児期に発症する重篤な常染色体優性遺伝病のヘテロ接合体の場合
- その他、胎児が重篤な疾患に罹患する可能性のある場合
3 の高齢妊娠とは、一般的には出産予定日に35歳以上の妊婦さんが対象とされます。
また、エコーやマーカー検査など、他の検査で異常の可能性が発見された場合は、上記の7 にあたります。
ただし、この判断基準は絶対ではなく、各病院や医師の判断、夫婦の強い希望などで、検査の可否が決まるようです。
実際に羊水検査が適用されている理由の内訳は、
- 約50% 高齢妊娠
- 21.5% 超音波異常(その約半数がNT-首の浮揚)
- 17.9% 母体血清マーカー検査陽性
- 6.5% 両親や過去の妊娠の染色体異常歴
となっています。
これは数年前のデータですので、現在はこれに加え、『新型出生前診断(NIPT)』での陽性判定を受けて、羊水検査を行うケースも増えてきていることが予想されます。
関連新型出生前診断(NIPT)無認可施設の『全染色体検査』は受けたほうがいい?
羊水検査でわかることは?精度は?
羊水検査でわかることは、次の3つです。
① 染色体異常
46本すべての染色体についての『数の異常』と『構造異常』
精度(的中率)
・ダウン症に対して99.9%
・染色体異常全般に対して99.7%
② 開放性神経管奇形
二分脊椎・無脳症
③ 一部の遺伝子変異
では一つずつ詳しくみていきましょう。
羊水検査でわかること
① 染色体異常
46本すべての染色体異常がわかり、的中率も高い
他の出生前診断では、21・18・13番の3つの染色体異常しかわからないことが多いのに対し、羊水検査では、46本すべての染色体の異常がわかります。
また、あきらかに染色体の本数が通常と異なる『数の異常』だけでなく、一部が欠失していたり転座していたりする『構造異常』もある程度診断できます。
的中率がダウン症に対して99.9%、染色体異常全般に対して99.7%と大変高いのも、羊水検査の特長ですね。
羊水検査で実際に見つかった染色体異常の内訳
実際に羊水検査で見つかっている染色体異常の内訳をみていきましょう。
- 72.3% 常染色体のトリソミー
1~22番までのいずれか染色体が1本多い(内訳は下記) - 12.3% 構造異常
いずれかの染色体の一部欠失・転座など - 11.2% 性染色体異常
ターナー症候群
X染色体が無かったり、一部欠けている病気。
女性だけに起こり、低身長・手足の甲のむくみなどが特徴。
クラインフェルター症候群
X染色体が増えてしまう病気。
男性だけに起こり、高身長・言語障害などが特徴。 - 4.1% その他
さらに、上の染色体異常の7割を占める『常染色体のトリソミー』の内訳もみてみましょう。
- 50.7% 21番トリソミー(ダウン症)
- 42.6% 18番トリソミー(エドワーズ症)
- 6.4% 13番トリソミー(パトウ症)
- 0.3% その他
(データ元: 2006~2008年 ラボコープ・ジャパンにおける10,949件の羊水検査)
羊水検査で見つかる染色体異常の多くは『ダウン症』
上のデータを見ると、羊水検査で判明する染色体異常のほとんどは、常染色体の数の異常、そしてその半数が21番トリソミー、すなわち『ダウン症』であることがわかります。
でもそれは決して、ダウン症が、他の染色体異常に比べて起こりやすい、というわけではありません。
逆にダウン症は、検査をする15週まで、流産をせずに妊娠を継続できる、比較的軽い染色体異常、ということなのです。
21・18・13番以外の染色体は、より生命維持に深く関わる遺伝子情報を持っているため、数の異常があると、そもそも着床できないか、妊娠初期に流産をしてしまうので、この時期にはもう見つからないのです。
羊水検査の染色体診断に、誤診はある? なぜ精度は 100%ではないの?
精度が高く、確定診断とされる羊水検査。
それでも、なぜ染色体異常の的中率は『100%』ではないのでしょうか?
どのような場合に、0.1~0.3%の誤診断が出てしまうのでしょうか?
その主な理由は、次の3つです。
1.染色体の細かな構造異常は見えないことも
羊水検査は、『人の目』でおこなわれています。
もちろん、専門の技術を身につけた医師や技師ですので、正確性はかなり高く、染色体の数の異常や大きな構造異常は、まず見逃すことはありません。
ただし、目で見てもわからないような、ごくごく細かい構造異常については、見逃してしまうことがあります。
特にお腹の中の赤ちゃんの検査は、大人の検査のように血液を直接調べることはできず、羊水に混ざった細胞のかけらを培養して調べるため、どうしても細かいことろまではっきりと見えないことが多いのです。
そのため、ほんのわずかな構造異常は羊水検査で見逃され、出生後に発見されることがあります。
2.染色体のモザイクによる誤診
人間の体は、大人ですと約37兆個の細胞でできており、その一つ一つの細胞に、46本ずつ染色体が入っています。
本来は、37兆個のどの細胞をとっても同じ染色体が入っているはずなのですが、ごくまれに、異なる染色体が入った細胞を持っているケースがあります。
つまり、体の一部には正常な染色体が入った細胞、他の部分には異常のある染色体が入った細胞を持つ場合があるということです。
これを、『モザイク』といいます。
もしお腹の赤ちゃんがこの『モザイク』の場合、羊水検査で染色体異常のある細胞がうまく採取・培養できれば、羊水検査で見つけることができます。
しかし、正常な染色体の細胞ばかりが採取され培養されると、羊水検査では『陰性』でも、生まれてから染色体異常が見つかることになります。
3.母体の細胞の混入による偽陽性
羊水検査では、ママのお腹に針を刺して、羊水を採取します。
その際、針はママの皮膚や子宮を通ってから羊水に到達するため、まれに母体の細胞が羊水の中に混ざってしまうことがあります。
そのようなことがないよう、羊水検査では非常に細い針を使用して慎重に羊水を採取し、母体の細胞が混入している可能性の高い最初の吸引物1~2mlは破棄しますが、それでも100%混入しないとは言い切れません。
ですので、ママが何かしらの染色体異常を持っている場合、赤ちゃんに異常がなくても、羊水検査で『陽性』と判定されてしまうことがあります。
現在の技術では、これらの羊水検査の染色体異常の誤診を、完全に防ぐことはできません。
そのことを、羊水検査を受ける前にしっかりと認識しておきましょう。
しかし、それでも染色体異常に対して99.7~99.9%の的中率というのは充分高く、羊水検査が信頼性の高い検査ということに変わりはありません。
羊水検査でわかること
② 開放性神経管奇形
開放性神経管奇形とは、妊娠4~8週辺りに赤ちゃんの『脳』と『脊椎』が形成される際、血中のホモシステイン値が上昇して、神経管の細胞分裂がうまくいかなくなって起こる病気です。
- 神経管の上部が閉鎖されると『無脳症』
- 下部が閉鎖されると『開放性二分脊椎症』
となります。
『無脳症』は、その名の通り脳が形成不全となって、その75%が流産や死産となり、もし出産できても、長く生きることはできません。
『開放性二分脊椎』は、脊髄が脊椎の外に出て損傷や癒着をしてしまう病気で、1万人に6人の割合で起こります。
出産までいたることも多いのですが、出生後すぐに手術が必要となり、その後の生活でも、運動機能・知覚・内臓機能などに障害が出るケースがほとんどです。
羊水検査では、羊水の中にAFP(α-フェトプロテイン)という赤ちゃんの脊椎から流れ出るタンパク質が含まれているかどうかを調べることで、開放性神経管奇形の確率を診断します。
羊水検査では、あくまで『確率』しかわからないのですが、神経管奇形は超音波検査でもある程度判別できるので、羊水検査と超音波検査の結果を合わせて判断していきます。
ちなみに、神経管奇形は、妊娠1か月前から1日400μgの葉酸を摂取することで、約70%リスクを減らせることが医学的に証明されていますので、妊娠を希望している方は、必ず妊娠前から葉酸を服用するようにしましょう。
羊水検査でわかること
③ 一部の遺伝子変異
夫婦どちらか、または以前妊娠した子どもに、遺伝子疾患があったり、超音波検査で赤ちゃんに何らかの遺伝子疾患の兆候が見られた場合には、羊水検査でその遺伝子について調べることができます。
また、ここ数年クローズアップされている『風疹(ふうしん)』による赤ちゃんへの影響も、羊水検査である程度診断することができます。
妊娠初期にママが風疹にかかった場合、羊水検査で羊水から風疹ウィルス遺伝子が検出されるかどうかを調べることで、赤ちゃんも風疹にかかったかどうかがわかります。
(ただし、たとえ赤ちゃんが風疹にかかっていたとしても、『先天性風疹症候群(CRS)』を発症するのは1/3以下と言われています。)
遺伝子検査は、羊水検査を受ける妊婦さん全員におこなわれるものではありません。
もし羊水検査で特定の遺伝子について調べてもらいたい場合には、事前に医師と相談して、検査したい内容を、医師から検査機関に依頼してもらう必要があります。
羊水検査ではわからないこともある!?
このように、万能に思える羊水検査ですが、残念ながら赤ちゃんのすべての病気を見つけられるわけではありません。
では、羊水検査でもわからないこととは、どのようなことなのでしょうか?
形態異常は、超音波の方が有効
染色体異常を伴わない骨格の異常、多指症など、赤ちゃんの形態異常は、羊水検査では発見できません。
これらは、超音波による精密検査ではわかることが多いですので、羊水検査を受ける場合でも、胎児超音波スクリーニング検査(胎児ドック)も併せて受けると安心ですね。
羊水検査では、染色体異常・神経管奇形以外の病気はわからない
無事に出産までいたる赤ちゃんでも、そのうちの3~5%は、何かしらの治療が必要な病気を持って生まれてくると言われています。
染色体異常をもって生まれる赤ちゃんは0.92%ですので、染色体異常以外の病気をもって生まれる赤ちゃんも100人中2~4人いるということです。
羊水検査では、染色体異常を伴わない病気や、羊水に異常が現れない病気に関しては、わかりません。
心疾患や、他の臓器の異常、血流の異常などは、超音波検査で判明するケースもあります。
でも、どんな検査を受けても、生まれるまでわからない病気や障害もあるということを知っておくことが大切ですね。
双子などの場合は、羊水検査の精度が低くなる
双子など多胎妊娠の場合には、それぞれの赤ちゃんの羊水を、確実に、かつ安全に採取するため、2回(赤ちゃんの数だけ)穿刺します。
そして採取した羊水ごとに色を付けるなどして、区別できるようにして培養していきます。
しかし、赤ちゃんや胎盤の場所などにより、すべての赤ちゃんの羊水を採取できなかったり、胎児を隔てる羊膜を通して互いの羊水の行き来があったりして、それぞれの赤ちゃんの羊水を確実に診断できない場合があります。
羊水検査の手順・所要時間は?
では、具体的な羊水検査の手順をみていきましょう。
羊水検査自体の時間は、およそ30分です。
その後、30分程度の安静が必要となりますので、羊水検査全体で1時間くらいのケースが一般的です。
ただし、日帰り入院・1泊入院など、病院によって羊水検査の扱いが異なり、所要時間も異なります。
1. 遺伝カウンセリング(行わない病院も)
日本産婦人科学会により、出生前診断の中でも遺伝学的検査にあたるものを受ける際には、遺伝カウンセリングを受けることが強く推奨されています。
羊水検査も、遺伝学的検査にあたるので、検査を受ける条件として遺伝カウンセリングが義務付けられている病院もあります。
ただし、他の出生前診断を受ける際に、すでに遺伝カウンセリングを受けている場合は、省略されることもあります。
遺伝カウンセリング
- 日程
羊水検査当日 もしくは前もって別日に
所要時間は30分くらい - 内容
遺伝学的検査の意義/検査結果の出方(偽陽性・偽陰性について)/陽性が出た場合の心構えやその後の選択について - 担当者
臨床遺伝医もしくは遺伝カウンセラー(医師ではない場合が多い) - 出席者
妊娠中の夫婦(どちらか一方の場合は、もう一方の署名が必要になる場合もある) - 費用
羊水検査費用とは別に3千~1万円ほどかかるところが多い。
2. 超音波(エコー)検査
針を刺す前に、ママのお腹の上から超音波(エコー)をあてて、赤ちゃんの健康状態・位置・姿勢、羊水の量、胎盤の位置などを確認します。
3. 羊水穿刺(せんし)
ママのお腹を消毒し、エコーをあてながら、おへその下あたりに細い針を刺し、約20mlの羊水を採取します。
針を刺している時間は、20秒くらいです。
針を刺している間、赤ちゃんが寝てくれていると安心なのですが、起きていると動く可能性があります。
中には、入ってきた針に興味津々で、針をつかむ赤ちゃんもいるそうですよ。
赤ちゃんを絶対に傷つけないように、エコーで様子を見ながら、慎重に採取していきます。
針を抜いたら、消毒して絆創膏を貼ります。
再度、エコーで赤ちゃんの状態に異常がないか、確認します。
4. 安静
羊水検査の後、30分ほど安静にし、最後にもう一度エコーで赤ちゃんの様子を確認して、終了です。
病院によっては、大事を取って1泊入院となるところもあるようです。
羊水検査の後は、安静にする必要があるため、上のお子さんがいて家では安静にできない場合などは、1泊入院した方が安心かもしれませんね。
羊水検査後の過ごし方 〜安静が必要?
羊水検査が終わると、3~5日分の感染予防の抗生物質と、お腹の張り防止の薬を処方されることが多いようです。
羊水検査当日は、入浴やシャワーは禁止で、できるだけ安静に過ごします。
車の運転や家事なども控えましょう。
出血や破水(羊水の漏れ)がないか、注意深く様子をみて、もし何か異常があったらすぐに病院に連絡しましょう。
羊水検査が原因となる異常は、ほとんどが3日以内に起こると言われています。
ですので、働いている方も、できれば羊水検査のあとは 3日間ほど休みをとって、できるだけ安静にし、何かあったらすぐに病院に行けるように準備をしておくと安心ですよ。
羊水検査の3日後からは、何も異常がなければ普段通りの生活に戻れますが、1週間は激しい運動などは控えましょう。
通院は、結果が出るまで必要がない場合もあれば、羊水検査数日後に赤ちゃんに異常がないかエコーで確認をするケースもあります。
羊水検査は痛いの?
羊水検査は痛いのでしょうか?
麻酔はするのでしょうか?
心配になってしまいますよね。
実際は、採血と同じくらいか、それよりも痛くなかったという方が多いです。
(中には何度も刺し直されて痛かった、という方もいますが)
また、表面はあまり痛くなくても、下腹部に生理痛のような痛みを感じる方は多いようです。
痛みはすぐに治まりますが、検査後1~2日は、針を刺したところがひきつれるような違和感を覚えることもあるようです。
痛みの感じ方には個人差があり、また医師の技術、赤ちゃんが起きていて動くかどうかにもよります。
しかし、子宮をできるだけ傷つけないように、また針に母体の細胞が入ってしまわないように、とても細い針を使っているため、通常の注射針よりも痛みを感じにくいことは確かですよ。
羊水検査は麻酔をするの?
痛いのは苦手なので、麻酔をしてほしいなぁという方もきっといらっしゃいますよね。
でも、妊娠中ですので、赤ちゃんまで影響のあるような強い麻酔は使えません。
皮膚の表面の痛みをとる麻酔をするかどうかは、病院によって異なります。
麻酔の注射をする病院もあれば、表面に麻酔スプレーを吹きかける病院もあります。
ただし、麻酔の注射もチクっとしますので、表面だけの痛み取りでしたら、麻酔無しで羊水摂取の針を刺しても変わりないかもしれませんね。
羊水検査の結果はどうやって出るの?
羊水検査の結果が出るまでの日数・聞き方
羊水検査の結果は、2~4週間後に出ます。
2週間と4週間ではかなり違いますが、病院や検査機関の混雑具合、培養の具合によって期間は異なります。
また、『FISH法』(Rapid FISH)を併用した場合、まず、
- 約3~5日で21(ダウン症)・18・13番染色体のトリソミーと性染色体異常だけの結果
- 2~4週間後とにその他の染色体異常の結果
と、時間差で結果が出ます。
羊水検査の結果の聞き方は、検査の際あらかじめ結果が出る頃に予約を入れる病院もあれば、結果が出たら電話連絡をくれる病院もあります。
羊水検査の結果の出方
羊水検査の結果は、クアトロテストのような『確率』ではなく、異常があるかないか、はっきりと出ます。
たとえば、
『全ての染色体について陰性』
『21番染色体について陽性(トリソミー)』
のように記されます。
(実際は英語だったり、検査機関や病院独自のフォーマットだったりと、書き方は様々です)
また、染色体の写真(図)を載せてくれる場合もあります。
この際、検査機関から送られてきた紙には、当然XY染色体の結果も載っているので、性別も100%確実にわかるのですが、それを伝えるかどうかは、病院の方針や、夫婦の希望によるようです。
羊水検査は結果が出ない場合もある!?
約500人に1人の割合で、羊水の中の赤ちゃんの細胞が、培養しても充分に増えず、染色体の分析ができないことがあります。
その場合には、希望により再検査となります。
羊水検査にリスクはあるの?
羊水検査は、安全性の高い検査とされていますが、赤ちゃんが入っている子宮に針を刺すため、やはり100%リスクが無いとは言い切れません。
『流産や破水のリスクがある』と聞くと、とても怖い気がしますよね。
実際のところはどうなのでしょうか?
羊水検査の流産のリスクは実は高くない!?
羊水検査といえば、『流産のリスクがある』という情報が必ず出てきます。
確かにどのサイトを見ても、『羊水検査には、0.1~0.3%の流産リスクがある』と書かれていますよね。
しかし実際には、技術は日々進んでおり、新しい報告になるほどその数字は低下しています。
また、先進国ほどリスクが低いことがわかっていますので、現在日本での羊水検査の流産のリスクは、0.1%を切っていると言われています。
しかも、この妊娠16週前後というのは、自然流産も多い時期で、羊水検査が原因で流産したのか、それとも元々持っている先天性異常など他の原因で流産したのかはわかりません。
0.1%というと、自然流産が起こる確率と比較してそれほど高い数値ではないのです。
もちろん、羊水検査は子宮に針を刺しますので、血液検査などに比べれば、100%安全とは言い切れません。
しかし、そこまでリスクを恐れる必要はないのかもしれません。
なお、検査3日後までに何もなければ、羊水検査を原因とする流産の危険はまずなくなります。
少なくとも羊水検査後の3日間は、念のため医師の指示通りに慎重に過ごし、万が一腹痛や出血などがあれば、すぐに病院に連絡しましょう。
羊水検査で破水しても、妊娠に影響はない
『破水』も、羊水検査のリスクとしてあげられます。
実際に、100人に1人の割合で、羊水検査後に破水が起こっています。
しかしこの羊水検査での『破水』とは、出産時に起こる破水とは異なるものです。
針を刺したところから少量の羊水が漏れ、膣内から下に降りてくるのです。
おりものとは違う、さらさらした水のようなものなので、「尿漏れかな?」と思う方も多いようですよ。
この羊水検査による破水(羊水の漏れ)は、1週間以内に止まり、その後の妊娠に影響がないケースがほとんどですので、心配はいりません。
ただし、破水(羊水の漏れ)が止まるまでの1週間は、入院して安静にする必要があります。
もし、羊水検査の後に、破水(羊水の漏れ)と思われるものが膣内から出てきたら、すぐに病院に連絡をしましょう。
100人に1人というのは、決して低い確率ではないので、羊水検査後の1週間は、万が一の入院に備えて大切な予定を入れないようにしておきましょう。
ママがウイルス感染症の場合は注意
ママがB型・C型肝炎ウィルスや、エイズウィルスの保持者であった場合、羊水検査で針を刺す際にママの血液がわずかに羊水に入る可能性があり、赤ちゃんにウィルスが感染してしまうことがあります。
現在は非常に細い針を使用しており、その危険性は低くなりましたが、それでも100%防ぐことはできません。
ママがそういったウィルスを持っている場合は、羊水検査を受けるかどうか、医師としっかり相談しましょう。
Rh(-)ママのリスク
ママの血液型がRh(-)で、赤ちゃんがRh(+)だった場合、羊水穿刺によって赤ちゃんの血液がママの血液に混ざると、抗D抗体ができ、妊娠中期・後期に溶血を引き起こす可能性があります。
多くの病院では、予防のために、検査終了直後にママに抗Dグロブリン注射を打ちます。
この血液混入によるリスクは、ママだけのリスクであり、赤ちゃんへのリスクはありません。
なお、妊娠中から出産にかけて、赤ちゃんの血液がママの血液に混入することを完全に防ぐことはできません。
ですので、Rh(-)のママは、羊水検査をするしないにかかわらず、妊娠中、出産後に、抗Dグロブリンの投与が必要となります。
Rh(-)のママは、産院を選ぶ際に必ず対応できる病院かどうかを確認しましょう。
羊水検査のその他のリスク
その他に、ごくまれですが、子宮内感染による『播種性血管内凝固症候群』、羊水がママの血液中に流れ込む『羊水塞栓症』、『胎児の受傷』などが報告されています。
羊水検査によるリスクは、施設の充実度、医師の技術、ママの持病や体質などによるものが多く、事前の病院のリサーチや、医師との話し合いが大切になります。
不安なことは、どんな小さなことでも相談し、しっかり納得したうえで羊水検査を受けるようにしましょう。
羊水検査の費用は?
羊水検査の費用は、6~18万円くらいです。
病院によってかなり差があります。
通常の羊水検査に加え、『FISH法』という、先に21・18・13トリソミーの結果だけを3~5日で出せる検査を併用すると、高額になる傾向があります。
また、日帰り入院や1泊入院で羊水検査をおこなう病院では、ベッド代や食事代が含まれ高額になることもあります。
残念ながら、羊水検査には健康保険が適用されませんので、全額自己負担となります。
その他、高額医療費制度や、医療費控除の対象にもなりません。
羊水検査に、自治体からもらえる妊婦健診用の補助券が使えるかどうかは、各自治体によりますので、事前に問い合わせておくとよいですよ。
羊水検査のまとめ
羊水検査を受ければ、特に染色体異常に関しては、『陰性』か『陽性』か、ほぼ間違いのない診断が出ます。
羊水検査で陰性でしたら、安心材料になりますし、もし陽性でしたら出産に向けてさまざまな準備をしたり、夫婦で今後の選択肢を話し合うこともできます。
ただし、リスクはかなり少なくなっているとは言え、子宮に針を刺すことに抵抗を感じる方もいますよね。
現在は、『新型出生前診断(NIPT)』が一般診療になり、受けられる病院も増えています。
ママの血液検査だけで、21(ダウン症)・18・13トリソミーに関しては羊水検査と変わりない精度で検出されます。
費用は高くなりますが、羊水検査のリスクが心配な方は、まずそちらを受けてみるのも一つの手ですよ。
(新型出生前診断(NIPT)の料金には、ほとんどの場合、陽性だった際に診断を確定させるための羊水検査の費用が含まれています。)
ご夫婦でよく話し合って、納得のいく出生前診断を受けられるようにしたいですね.
羊水検査 まとめ
- 確定検査
- 羊水検査の実施時期
15~18週 - 羊水検査の対象者
本人が希望し、医師が条件に当てはまると判断した妊婦 - 羊水検査でわかる疾患
染色体異常全般(数の異常・構造異常)
開放性神経管奇形(開放性二分脊椎・無脳症)
一部の遺伝子変異 - 羊水検査の精度
ダウン症に対して 99.9%
染色体異常全般に対して 99.7% - 形態異常
わからない - 羊水検査での胎児リスク
流産のリスク 約0.1%
破水のリスク 約1%(その後の妊娠に影響はない)
その他、まれに出血・感染・羊水塞栓症・胎児の受傷など - 羊水検査の母体負担
腹部に針を刺し、羊水を20ml採取・20秒くらい
麻酔は使わないことが多い
表面の痛みは少ない・下腹部内に生理痛のような痛み - 羊水検査の結果
2~4週間後
(FISH法では3~5日後に13・18・21・x・yの5種類の本数異常のみ検出) - 羊水検査の実施施設
専用の設備があり、技術を持った医師がいる施設 - 羊水検査の費用
6~18万
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